エレファントカシ、20thアルバム「悪魔のささやき」。総決算的作品の裏にあった大いなる野心とは。

エレファントカシマシ エレカシ
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エレファントカシのアルバム「悪魔のささやき」のジャケット写真

「悪魔のささやき」。

正確には「悪魔のささやき~そして、心に火を灯す旅~」。

エレファントカシ、ついに20作品目のアルバムです。

まさに節目にあたるこの作品は、今の充実したバンドの創造性と、

今までの自分たちがつくってきた過去の作品への振り返りを表した、総決算的作品です。

休みなく走り続けて、ついに20枚目のアルバム「悪魔のささやき」。

2010年11月にエレファントカシマシはアルバム「悪魔のささやき」を発表します。

これでついに20作品目となるアルバム作品。

ふつうアルバム(シングルじゃないよ)を20枚も出してきたってことがもうすごいんだけど。

1stアルバムが、1988年に出てるから、22年くらいの間に20枚という感じ。

このハイペース、休みの無さ、活動の濃度がすごい。

そしてここで、ちょうど節目となるような、総決算的アルバムを発表します。

それがこの「悪魔のささやき」。

エレファントカシ史上でも圧倒的な「濃い」アルバム作品で、一曲目からラストまでずっと沸騰してるような感じです。

火のそばにいる感じ。変な言い方だけど、サウナにはいってとめどなく汗がふきだしてる?そんな感じかな。

前作「昇れる太陽」がブルーの、青空のイメージだったとすれば、今作はレッド、夕焼け空という感じ。(ずばり「赤き空よ!」という曲も入ってるしね。)

・・・間違ってないよね。

「悪魔のささやき」の秘密。

「悪魔のささやき」というフレーズ、じつは「化ケモノ青年」(「扉」収録。)にも出てきてるんだよね・・・。

それはともかく。

このアルバム、今振り返っても、妙に興味をひくんですよ。

セールスも良かったし、粒ぞろいの曲ばかりだし。

でも、ユニバーサル期の中では、比較的うずもれてるような気がします。

ただ、このアルバム、おそるべきアルバム。

破格の野心が込められた、史上の問題作なのです・・・。

ついにメタレベルの作品来たよ。

「悪魔のささやき」という作品はエレファントカシマシにとって。

過去の自分たちの作品と創作活動を振り返り、再創造することで、今とのバランスをとるような意味合いがあったのだと思います。

というのもエレファントカシはユニバーサル移籍後、あらたなステージに突入したわけですが。

そこで節目となるこのアルバムの制作を通じて、自分たちが実際問題今どれだけの力を、領域をもっているのかを確認したわけです。

いわばフルパワーで肩慣らしして、文字通り「節目」としたわけです。

では、どうやったか。

実は「悪魔のささやき」の収録曲はすべて、過去作品を利用しています。

これは悪い意味で言っているのではありません。

それどころか、確実に今より若かった自分たちが創り出した作品群を、年を食った自分たちが挑発しているのです。

(今でも全然同じことできるぜ、俺たちは、正真正銘のプロフェッショナルだぜ。)

2曲目の「脱コミュニケーション」。この中に「good morning」の夜を再創造しました。

「明日への記憶」。この圧倒的名曲でまさに「明日へ向かって走れ」の表題曲、「赤い薔薇」、「昔の侍」を挑発し、勝利してしまいました。

カメ
カメ

ヨロレイン♪

「九月の雨」は「愛と夢」。「真夏の星空は少しブルー」のギターを拡大しています。

「旅」。この力強い曲で「DEAD OR ALIVE」のギラギラした曲群を余裕で挑発。

「彼女は買い物の帰り道」。「life」全体の雰囲気、サビで「暑中見舞」を再創造します。

「歩く男」。「扉」とくに「化ケモノ青年」を連想させますが、それだけで終わらず、中盤の実験的な曲らしさすら組み入れてます。

「いつか見た夢を」。これは「ココロに花を」・・・。「ドビッシャー男」や「かけだす男」の学生のようながむしゃらな若さを、もっと若くしたかのよう。

「赤き空よ!」。「町を見下ろす丘」の「流れ星のやうな人生」「地元のダンナ」のメロディーだってより洗練してみせます。

「夜の道」・・・。「生活」の「遁世」や「偶成」でしか聴けないはずのあのアルペジオすら再現してしまいました。

「幸せよ、この指にとまれ」。・・・名作「STARTING OVER」の中に収録してもシングルだったでしょう。

「悪魔メフィスト」。これは「昇れる太陽」。

個人的な妄想かもしれませんし、間違ってるかもですが、こんなふうに対応しているように思うのです。

おそろしく客観的に過去のアルバムをとらえて、メタレベルで創造・再現しています。

(とくに「脱コミュニケーション」「悪魔メフィスト」「明日への記憶」なんかは、対応するアルバムが強力なので、こちらも超強力なデキとなっとります。)

まとめ

過去の経験作品群を洗いなおすこと、かつそれが出来てしまう事実は、かえって過去の作品群が唯一無二のものであることを証明しました。

今の実力の凄さと、過去の作品の凄さが、偶然じゃなく、常に自分たちの中にあることを示したからです。

この「悪魔のささやき」、どこかハイライトとなる曲がない様な気もしてたのは、逆に全部抜きんでていて、粒ぞろいで、バラつきがないからなのです。

じつはビートルズのアルバム作品を連想しちゃうんですよね。

この、オリジナルアルバムなのにベストアルバムのようなバラつきの無さ。

(ちなみに、「明日への記憶」の最後のパートで、「サージェント・ペパーズ」のオープニングのギターっぽいフレーズが聴こえます。)

「moonlight magic」は、過去の作品の中に対応が見つからなかったけど、次作「MASTERPIECE」に結びついていくのかもしれません。

ではまた。

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