ぬあああ。「鵼の碑」が出ておる。
これは発表があったとき、うおおおであった。
京極夏彦氏の人気シリーズ〈百鬼夜行シリーズ〉の最新刊である。前作から17年振りこれ。
前作は「邪魅の雫」だったな。あれも発売当日にツタヤで買ったの覚えてるわ。
今もうツタヤでとか買わないもんな。本買うとしてもAmazonとかになってしまっているぞ。
「百鬼夜行シリーズ」の魅力再び。
読破したぞ。
5日くらいかかったな。800ページちょいある。
これハードカバーのバージョンもあるのだが、自分はこの講談社の新書?のバージョンがやっぱり思い入れあるんだよなぁ。迷わずこっちを買ったぞ。
姑獲鳥のころからこれで揃えてるものな。
今思えば、それまでラノベしか読んでなかった当時の自分にとって、この講談社の新書の縦長の本の形と、なぜか本文が上下2段になっているのは斬新であった。
今作「鵼の碑」は良かったよな。
いや、めちゃくちゃ良かったぞ。
実は、2作前に「陰摩羅鬼の瑕」ってあって、それがあんまり良くなかったんよね。
このシリーズは最初から5作目(「絡新婦の理」)までが信じがたいくらい傑作なんだが。
たしかに。ちょっと凄すぎるんだよなぁ。
その次に長くて2冊に分かれた6作目(「塗仏」)があって、でその次「陰摩羅鬼の瑕」があれ?
ちょっと才能尽きた?ってくらい凡作であった。でその後の「邪魅の雫」もね、やや盛り返したが最初の5作にはぜんぜん追いついてないんだよ。
自分はもちろんこのシリーズのファンなのだが、本音を言えば5作目までが持っていたあの意味わからん魅力よもう一度戻って来てくれファンであったという。
「鵼の碑」。
で、このたびこの「鵼の碑」。タイトルだけはファンはみんなこれ昔から知っていたよね「鵼の碑」であるが、初期5作に並び立つ魅力をもった出来ばえであったという。
良かった。本当に良かった。
まあ内容を言ってもあまり意味ないのだが、まあシリーズおなじみのあのノスタルジーある時代を舞台に、個性あるシリーズキャラクターが今回は日光を舞台に活躍しているぞ。
これ、これだけ前作から間が開いて、で今回この傑作来たからあらためてこのシリーズのなにが魅力だったか思い出したな。
何個かあるんだが、絶対言いたいのは読後感なんだよな。
キレキレのときの京極夏彦作品はこれ読後感がめくるめく読後感が。
ミステリーなんだけど感動してしまう。「陰摩羅鬼の瑕」「邪悪な雫」ではやや物足りなかったあのときの読後感が「鵼の碑」では戻って来てたぞ。嬉しい。
あと京極夏彦の手法も思い出した。読み進めていくうちに読者はこうあってほしい、まさかこうなんじゃね?と無意識にある明確な方向に誘導されてしまう。
推理小説だからまあこれは作者によるフェイクなんだけど、単に論理的に誘導されるだけでなく、奥深い感情によって誘導されてしまう感覚がある。
そこにきて真相は意外とシンプルであったりするから、登場人物といっしょに自分も憑き物を落とされる感じがするんだよなぁ。
新キャラ緑川佳乃。
このシリーズってあえてジャンル分けしなくてもいいのかもしれないけど、絶対ホラーの要素は入ってるんだよなあ。
怖いもんな。探偵モノ、推理モノだから殺人などの凶悪事件が起こる。だからその怖さはあるんだが、絶対それ以上に怖い要素入ってるんだよな。
それがスリルになっておる。
今作「鵼の碑」、絶対に言っておきたいとこがあって。それは新しく登場したキャラ緑川佳乃が爆発的な魅力をしているのだ。
正直このレベルのキャラを待っていたんだよなぁ。緑川絶対人気出るぞ間違いない。
まだこんなキャラ生みだせるんだな。郷嶋とのカラミがいいんだよな。郷嶋けっこうまるくなっておる。
次作「幽谷響の家」ってマジ?
ここ最近の京極夏彦氏のインタビュー記事を読んだけど、「鵼の碑」が前作から17年もかかったのは単純に忙しかったかららしい。
時間ができてあらためて本腰入れて書き出したら3か月ほどで完成したという。長編1作書くのに3か月というのはいつも通りらしい。
実はなんかうわさがあったんだよな。「鵼の碑」はもうできてるけど東北を舞台としていて原爆に関する話だから発表できなかった、とか。
それなんか知ってるぞ。なんだったんだろうなそれ。
わからぬ。勝手な妄想のうわさだったのかもしれないけど、奇しくも「鵼の碑」には原子力の要素も出てきておるからな。
まあ気にしないでおこう。で、なんと次作予定がまたまたあったのだ。今までは後ろの裏表紙に予告してあったのだが。
この次作予定、ファンは買ったらまずここ見ていそうだよな。
うむ。で、今回裏表紙に書いてなかったから、さすがにもう次作予告やめたかぁ?まあそれが懸命だよなと思ったら、帯に書いてあったこれ。
「幽谷響の家」。マジ?
これは期待しかない。3か月で出してくれぇ。
あと緑川も出してくれぇ。
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