じゃん!
みなさんは、このアルバムをご存じでしょうか。
エレファントカシマシの11枚目のアルバム、「good morning」。
非常に攻撃的な?アルバムです。
エレカシの最高傑作です。
「武蔵野」、「sweet memory」の思い出。
自分が最初に買ったエレカシのCDは、「sweet memory~エレカシ青春セレクション~」でした。
(これはまあ、ベストアルバムです。)
地元の「うかいや」という、本とCDを売ってる店で買いました。
よく覚えてるね。
高校に進学し、電車で通学するようになって、MDウォークマンでずっと聴いてました。
けっこう長い間、自分にとってエレカシの世界はこのアルバム1枚を中心としたものでした。
(学生時代のころはCDを買う3000円がけっこう大金でした。)
このアルバムの最後に「sweet memory」(これは曲名。アルバム「sweet memory」にはずばり「sweet memory」という曲が入ってます)と「武蔵野」という曲が収録されてました。
この2曲がすごい良かったんだよね。
アルバムの「sweet memory」はポニーキャニオン期の曲がほとんどなんだけど、実はこの2曲はEMIに移籍した後の曲なんだよね。
当時はそのことも、エレファントカシマシがレーベルを移動するとがらりと作風が変わるということも知らなくて。
アルバム「good morning」発見。購入。
この2曲はね、アルバム「sweet memory」の中でなんか違ってました。
まず「歌詞」が、大人っぽくなってる。
メロディーの起伏の波?が緩やかで繊細になってる。ポニーキャニオン時代はもっとダイナミックだった。
あと「声」が、大人っぽくなってる。
あとキャラが、なんか大人っぽく?なってる。
語彙力・・・。
全部まとめると、宮本さんがなんか別人になった?かのような感じがあったんだよ。
で、自分にとっての衝撃は、「ココロに花を」、「明日に向かって走れ」だけでも、エレファントカシマシは独創的で、普遍的で、完成されたバンドだと思ってたんだけど。
なのにこのアルバムの中で、新たに収録されてた「sweet memory」「武蔵野」で、めっちゃ変化してたことなんだよ。
(ちなみに当時はエピック時代のことは全然知りませんでした・・・。)
これ以降自分はエレファントカシマシの発表した曲、ほぼすべて聴いてきたけど。
声が大きく変わったことはたぶん4回。(じつはアルバムごとに微妙にはしょっちゅう変わってます。)
一回目がこのころで。つまり「good morning」のころだったんだね。
(ちなみにあとの3回は「DEAD OR ALIVE」、「昇れる太陽」、シングル「あなたへ」で変わってると思います。)
とにかく、自分はそのころ、この変化したエレカシのモードをもっと聴きたかったんです。
じつは「sweet memory」には歌詞カードに曲の紹介が書いてあって。
「コール アンド レスポンス」のカップリング曲(「武蔵野」)・・・。
「so many people」のカップリング曲(「sweet memory」)・・・。
・・・って。なんだそのふしぎな曲名?
そしてその背後にある「ガストロンジャー」、「good morning」というなぞの言葉。
うおおおおおおお!
ギャース!
欲しいよう。
で、やっと高校がある神戸のレコード屋で「good morning」を発見しました。
(「うかいや」には売って無かった・・・。)
即購入。
でも家に帰らないとCDが聴けないんで。
帰りの電車で歌詞カードを見てたんだけど、なんじゃぁこりゃあ。
??
一曲目の「ガストロンジャー」の詞。あまりに語り口調というか。延々と続いて。
これってどういうメロディーがつくんだろう?と思いました。
自分の中では「武蔵野」のような、短文的な歌詞のモードのアルバムだと思ってたんだけどなぁ・・・。
エレファントカシマシ「good morning」の世界。
今の自分は「遁世」も、「RAINBOW」も、「桜の花、舞い上がる道を」も聴いてきてます。
でも天才だ、宮本は、と思うのはやっぱり「good morning」をつくった宮本に対して?言うものだと思うんだよね、きっと。
「good morning」は、エレファントカシマシのアルバムの中でも特殊な?特異なアルバムとなってます。
でもそれは、出た時と、今とでは、特異だと感じる意味が違ってるように思ってて。
じつは、エレファントカシマシをずっと聴いてきて、今「good morning」を振り返ると、そこにちょっと壁を感じることがあって。
このアルバムはけっこう内向きで、求心的で、世界観がかなりせまく限定されてて。
(本来エレカシの世界ってもっと広い、豊かな日常を歌ったものなんだけど。)
日常より広いものを教えてくれよう。
しかも「ガストロンジャー」という巨大な曲のイメージがアルバム全体を包み込んでいます。
発表当時、「good morning」はポニーキャニオン時代のポップで耳ざわりのいい曲に対する反動とも言われてたのか?
でもそれならそれで必然的な変化なんだけど。
「good morning」はエレファントカシマシの作品群の中では、独立した陸の孤島のように閉じてるんだよ。
エレカシの作品で重要なのはメロディーも、歌詞のフレーズも、だけど、なにより宮本さんの思想なんです。(勝手な思い込み。)
「good morning」は思想を狭く限定しています。
いや、思想はそのままに、使う言葉を今までのエレカシにはなかった類のものにしています。
宮本さんといえば「自部屋」で「タバコ」をくゆらせ「机上」の「本」を読むイメージ・・・と、言葉というのがありました。(勝手な思い込み。)
そこから「豊かに暮らすあいつらが憎らしい」とか「アホ面こいた総理大臣、説得力ない」みたいな?
こういう直接的で切迫した言い回しが「good morning」には出てくるんです。
あと英語の言い回しが異常に多い、うん。(まあ日本語英語、カタカナ英語だけど。)
あ、「切迫した」って印象はいいところついてるかも知れません。
実際「good morning」には「死へのおそれ」みたいな感情があるんだよ。
そこから刹那的な内容の曲も生まれてて。
でもね、これはエレカシには例外的な感情なんだよね。
しかし、この時の宮本さんは、この例外的な感情をなんとかしっかり掴んで、形にしておきたい想いがあった。
このアルバムが打ち込みで、宮本さんがほとんど一人で完成させたともいうけど。
それだけ一気に、一気呵成につくり上げてしまわないとムリだったんじゃないかな。
練りに練って考えたというより、ババッと直観的につくっちゃったアルバムだという気がします。
まとめ
「so many people」の中で「かりそめでいいよろこびを・・・。」
と宮本さんは歌ってて。
「good morning」は、まさにこれのことです。
このきらめきは、長くは続きませんでした。
しかし、このアルバムがその後のバンドの勢いを加速させ、怒涛のEMI期の幕が上がります。
そして、「good morning」という特殊なアルバムは、特殊なファンも産み出しました。
「good morning」を買ったひとは、それ以降の作品もすべて買ってしまうのでした・・・。
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