2002年12月、エレファントカシマシはバンド初となるミニアルバムをリリースしました。
かっこいいジャケットです。
アルバムの流れとしては「LIFE」→「DEAD OR ALIVE」→「俺の道」という並びです。
バンド初のミニアルバム「DEAD OR ALIVE」。
ミニアルバムということで5曲しか収録されていません。
1.「DEAD OR ALIVE」
2.「漂う人の性(さが)」
3.「クレッシェンド・デミネンド -陽気なる逃亡者たる君へ-」
4.「何度でも立ち上がれ」
5.「未来の生命体」
です。
3曲目のふしぎな曲名ですが、「クレッシェンド」は音楽用語で「だんだん強く」、「デミネンド」が「だんだん弱く」、という意味みたい。
このアルバムは外部プロデューサーを起用せず、完全にバンドメンバーだけで作り上げています。(これ重要。)
シンプルな5つの曲のもつ、美しさと力強さ。
この作品は5曲入りのミニアルバムということで、エレファントカシマシの作品群のなかではコンパクトですが、非常に興味のつきないアルバムです。
(世界観が似た印象の作品というと「good morning」なのだろうけど。)
5曲すべてがバラツキなく名曲で。
というか、初めて聴いたときと、今聴いたときで、同じ感覚を受けるのですが、
意外とこのアルバムに収録された5曲は、みんな似通っているんですよね。
そのうえで、一曲一曲のスケール感が大きい。
4,5分の長さの曲が実際は6,7分ほどはありそう。
たしかに普通の10曲くらいのアルバムだと、聴き手が消化しきれなくなっていたのかも。
アルバムのコンパクトさも相まって、5つの独立した曲というより、豪華なメドレー作品群といった印象があります。
そういうことで、必然的にミニアルバムになったのかな。
また、このアルバムは音作りが前2作に比べてシンプルなので、宮本さんのメロディーメーカー、ソングライターとしての天才が強く感じられます。
(ほんまにノエルギャラガーに勝ってるんじゃないでしょうか。)
繊細で、聴いててたびたび快い歌メロに出会います。
(歌詞は暗め、ダークな部分もありますが。)
さらに、キーボードとかストリングス?とかがなく単調だけど、全然問題じゃない。というのも、このアルバムは楽器自体の音の良さがとにかく素晴らしくて。
ずば抜けています。
とくにドラムのトミ(冨永さん)が大活躍です。パワフルで、むっちゃ手数が多い・・・。
すごいスタミナです。
「DEAD OR ALIVE」はリスタートだった。
実は今、「DEAD OR ALIVE」はあらためて価値を見せているのかも。
結構今(これ書いてるのは2020年、つまり宮本さんソロ活動中)のエレカシ、宮本さんのモードに近いんだよね。
2018年の「Wake Up」に「RESTART」が収録されてますが、「DEAD OR ALIVE」のときもエレカシは一度リスタートをきっていたのかも。
なにか作品にいざ仕切り直し!というすがすがしさがあります。
宮本さんの声もちょっと雰囲気変わったんだよね。
そして「DEAD OR ALIVE」を今聴きなおすと、音が全然古びてないことに驚きます。
EMI期のこの後のアルバムは綿密で丁寧な音作りのねらいが、かえって今聴くと古く、というか、発売当時の時代を思い出させるのですが。
「DEAD OR ALIVE」の音はほんと奇跡的で、今鳴っててもおかしくないです。
「DEAD OR ALIVE」と「Wake Up」の比較は面白いですね。
まとめなの。
「DEAD OR ALIVE」は「life」と「俺の道」をつなぐもの、過渡期にあたる作品です。
実は、次作「俺の道」に収録された「覚醒」や、さらに次の「扉」に見られる、あの「もう青春は終わった、若さは終わった」、というような?
そういう見方、テーマがこの「DEAD OR ALIVE」から兆しは見えてたんですね。
いわば「中年となりゆく」自分が?なお、かっこよくロックを歌っていくために。
このアルバムで純粋な4人体制に立ち返り、身を軽くしたようです。
「いずれ堕ちていく瞬間に歌でもどうだい」(「DEAD OR ALIVE」)
エレカシの歌詞の中でも屈指のかっこいいフレーズです。
ギラギラした目のニホンオオカミが近づいてきました。
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