クリント・イーストウッド監督主演「荒野のストレンジャー」を観ていくよ。
1973年の作品です。前の年1972年には「シノーラ」がありました。
「荒野のストレンジャー」はイーストウッドにとって2作目の監督作品。西部劇としては初なんだよなぁ。
この次のイーストウッドの西部劇はもう1976年の「アウトロー」になるよね。
「シノーラ」や「アウトロー」に比べて「荒野のストレンジャー」はかなり変わった西部劇だったと思うけど。
なんか息がつまるような感じがする作品なんだよなぁ。
オープニング~湖畔の町へ。
いきなりこれは砂漠だよなぁ?陽炎これ。
だろうなぁ。だとしたら奇妙な砂漠だが。こちらにやってくるのはイーストウッドかな。
いやこれ流れてる音が怖いんだが。
たしかに。ホラー映画のようである。そして一目でブルース=サーティースの撮った映像とわかるな。
闇の貴公子きたこれ。真っ昼間でも隠し切れない個性よ。
そして平たい大地から崖をくだっていく男。イーストウッドだと思うが。
スタッフの名前が映し出されていく。お、やっぱり撮影はブルース=サーティースであった。
なんかかっこいい絵面だな。この時代の作品なのに今っぽいよな。
で、色合いがブルーの感じがしないか?
「ブルー」ス=サーティースの主張が出たのかなぁぁ?
怖い音がやんだと思ったらいい感じの音楽が流れておる。これはエンニオ・モリコーネでは?
たしかにそれっぽいぞ。そうだと嬉しいな。エンニオがイーストウッド監督作品のため駆けつけてくれたかぁ?
違った。ディー・バートンとかいう人だ。
ディー・バートン曲調まぎらわしいぞぉ。
オープニングのスタッフロールが終わると一気に情報量が増えてくるな。
馬上の男はやっぱりイーストウッドであった。砂漠というか低い植物がまばらに点在してる土地だな。そして大きな湖があり、湖畔には村がある。ここがこの男の目的地なのだろうか。
だろうなぁ。物語の舞台になるのは間違いない。
お、足元に何個か十字架の墓が埋まっている。なんとも安っぽいつくりの墓である。
これも伏線かな。
白っぽい色の馬に乗っておる。服装のシルエットがちょっと「許されざる者」っぽいな。
そして立て札に読めるのは町の名前かな?
「LAGO」(ラーゴ)。
ラーゴとな。
これが物語の舞台となる町の名前だな。
町のやつら、なんか嫌な感じだぞぉ。
イーストウッドを町に突如現れた異物のような風に見ている感じだな。割と耐えられない空気である。
なかなかこの作品のイーストウッド、顔面コンディションが良いではないか。
カッコいいな。40過ぎくらいだろうが、これでイーストウッドとしては若いもんな。
そして町を馬に乗って闊歩しながら、町人の顔を眺めていく。
この中にキーパーソンもいるのかな。
有名俳優は出ておらんが、みんな個性的な顔をしているな。いいぞぉ。
ハゲを髪を伸ばすことでごまかしている男がいるぞ。きっとキーパーソンだぞ。
それにしてもなんかとってつけたような建物が並んでおる。生活感のない町である。
これはこの映画のために造られたセットの町なんだが、この作り物めいたハリボテな感じがかえって作品のテーマには合ってたんだよな。
なんのことだぁ?
おおお。棺桶屋がおる。「荒野の用心棒」を思い出すな。オマージュをねらっておるのかな?
そしてこの町「ラーゴ」に来て馬から降りて最初に入ったところが酒場である。
ザ・西部劇という感じだな。こういうシーン撮りたかったんだろうなぁ。
室内に入った途端一気にブルース=サーティースの画面になるなぁこれ。
この絵面の感じもうだいぶ覚えてきたよな。
ビールとボトルを注文し、飲み始める。ひげ面イーストウッドこれ。
即効で若いごろつきみたいなのにからまれておるぞ。
だがさすがにイーストウッドの格上感よ。この感じだせるかぁ?そのままビールを持って酒場から出ていき床屋に入る。
さっきのハゲを髪を伸ばすことでごまかしている男、床屋だったんだな。人選いいぞぉ。
こういう人選はさすがだよなぁ。
この作品「荒野のストレンジャー」、「恐怖のメロディ」に次いで監督2作目なのだが、オープニングから床屋での殺しまでの流れがめちゃくちゃ秀逸である。
イーストウッド演じる主人公の凄い銃の腕前、それが町の人間たちに与えたショック、そして次なるキーパーソンとなる小男との会話で、この主人公が名を名乗らないことの重要性が暗示されておる。
無駄がないんだよなぁ。
なんかめちゃくちゃ嫌な感じの女がいるぞ。イーストウッドがからまれておる。
めちゃくちゃ嫌な感じの女だよなぁ。なお、イーストウッドにやられてしまう模様。
だがこの女がこの後床屋で風呂につかってるイーストウッドに復讐に来るシーンは名シーンなんだよなぁ。ここだけでもこの女には価値があったのでは。
湖畔の町「ラーゴ」の秘密。
なお、ここで「荒野のストレンジャー」の設定を少し説明しておくぞぉ。
ネタバレかもしれないが有名な設定だし構わないだろう。
かなり有名な設定だし、この作品自体、イーストウッドがこの設定を気に入って映画化したようなところがあるんだよなぁ。
つまり、この町には実は秘密があって、町人みんながその秘密を共有している。
この町ラーゴには鉱山があって町の財政を支えているのだが、実はその鉱山の権利はもともと国のものであった。
町の保安官は正義からそれを政府に告げようとしたが、町人は鉱山で儲けていたため、3人の無法者(ステイシーとカーリン兄弟)を雇ってその保安官をいたぶり殺してしまった。
ひどすぎる話だよなぁ。町を守ってくれる保安官なのにな。
で、さらに町人は保安官を殺させたら、さらにその無法者どもを密告して逮捕させてしまった。
やばいだろ町人。
イーストウッドがラーゴにやって来た翌日、町の男どもが話し合いをしているのだが、実はその逮捕させた無法者たちがこの度釈放されたというので、復讐を恐れているわけだな。
無法者たちからしたら思いっきり騙されてるからなぁ。そりゃ復讐に来るよなぁ。
これ主人公をずっとイーストウッドって言ってるが、役名は無いのかぁ?
うむ。この「荒野のストレンジャー」の主人公は無名ということになってるな。このこと自体意味があったんだよなぁぁ。
あとかつて殺された可哀想な保安官の名はダンカンという。
「荒野のストレンジャー」振り返り。
この「荒野のストレンジャー」はどこか寓話というか、親が子に聞かせるおとぎ話のような、教訓譚のようなところがあるよな。
ラーゴという町はサンフランシスコのモノ湖という湖のほとりに撮影のためにつくられたセットの町である。
美術監督は偉大なるヘンリー・バムステッドであるが、建物とかはやけにハリボテに見える。これは明らかに意図的にそうしてるよな。
町はずっとあった設定なのに、建物の多くがちっとも古くない、できたばかりのようである。なかには作りかけの建物もあった。
最後に赤いペンキで塗られて燃やされるから安っぽくつくったのかな?
いや、これはそういう違和感が物語に非現実なことがまかり通る空気をまとわせることに一役かったんだろうなぁ。
wikiの説明にも、今作が超自然の要素を含んでいるとはっきり書いてるしな。
そもそものこのロケーションだってそうなんだよなぁ。オープニングの映像から感じるが、この土地、どうも人が住んだりする風景じゃないんだよなぁ。
イーストウッドは車でドライブしていて偶然この土地を見つけたらしい。いかにも現実離れしたストーリーを撮るのにうってつけの土地だと思ったんだろうな。
「荒野のストレンジャー」、イーストウッド西部劇初監督はかなりの野心作なのであった。
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