
「アーバンリサーチ」のことではない。

「UR」はスティーヴン・キングの短編集「マイル81」に収録されている。
この短編集の中では一番長いかな?中編くらいの長さがありそうだ。

ちょっと長いけど読んでみようと思ったのは、キング自身による前書きの内容が興味深かったからである。
今作はAmazonのキンドルのために、特にキンドルで読まれるために書かれたらしい。というか最初キンドル向けの作品を書くよう依頼されたとき気がのらなかったが、結果それにぴったりの作品ができてしまったらしいな。

なんかこれくらいの長さの作品がキンドルで読むのには向いているらしい。
スティーヴン・キング短編「UR」。

非常に楽しめる作品であった。
なんかこの短編集の作品の中では感触が若かったよな。

SFである。そして非常に無理なく、自然に入り込めるところが上手い。現実世界から、非日常への移行が信じられてしまえるのがキングのテクニックである。
それはどうやっているんだろうな?

聞いたことがある。物語に超自然な展開を組み入れるときには、その展開が読者に自然にイメージできるように段階を踏んでその世界に移行させることが必要らしい。
この場合は届けられたキンドルがピンク色であったことだろうな。

キンドルとしては普通ありえない色だし、ピンク色という選択が絶妙なんだよなぁ。旧時代的な文学の徒である主人公の世界にとって、いかにも奇抜な色合い。
これを手掛かりに少しずつSFの世界に読者は引きずり込まれてしまう。

ただ前書きによると、このピンク色のキンドルはキングがこのキンドル向けの作品執筆の見返りとして本当にもらったものらしいぞ。
設定に細かいルールが規定してあるのもリアリティがあるね。

並行世界において、作家が仮に書いたとされる作品の量も違ってたりするからな。
ポーが長生きしてて書いた作品が読めるとしたら確かに興奮するだろうなぁ。

するだろうなぁ。あのポーのことを思い至ってベッドから跳ね上がるシーン、気持ちはよく分かる。
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