2007年に、エレファントカシマシはEMIからユニバーサルミュージックへ移籍しました。
そこでつくられたのがこのアルバム「STARTING OVER」です。
この作品でエレカシにふたたびメジャー感が出てきました。
さてさてどうなるでしょう・・・。
名盤出来たです。アルバム「STARTING OVER」!
ユニバーサル移籍しての第一弾アルバム「STARTING OVER」は非常に甘い仕上がりになっております。
なんか男!感が薄まった様な。
(もう宮本さんもオレオレ言わず?「ぼく」という視線で歌ったりしてたり)。
かの「シグナル」(前作「町を見下ろす丘」収録)の影響が大きかったのでしょうか。
「俺」と「君」、ネガティブっぽさとポジティブっぽさが合わさってるあの曲が、「STARTING OVER」の曲の背後に息づいてるように思うのです。
あと「STARTING OVER」においては、EMI時代のアルバムの後半にしばしば入っていたような?
実験的で風変わりなタイプの曲がさらに昇華され、見事に完成されたかたちになっているのです。
おお!これがしたかったのか!
アルバム全体はモノトーンの色調で、はっきりとした色合いはないですが。
その実、楽曲は複雑で、音は研ぎ澄まされた感があります。
オープニングの「今はここが真ん中さ!」、今やエレカシのニュースタンダードとなったっぽい「俺たちの明日」、ラストの「FLYER」といった楽曲でパワフルなエレカシサウンドが聴けます。
が、その実、中盤のバラエティに富んだ曲群こそが「STARTING OVER」の本当のハイライトなのかとも思います。
遊びに満ちた曲たちですがすべてが名曲です。
これ実は一曲一曲の完成度とバラエティさでいえば「STARTING OVER」が一番なのかもしれません。
「笑顔の未来へ」に透かして見える「悲しみの果て」の思い出。
それにしても。あらためて。
シングル曲「笑顔の未来へ」を聴くとなんかもう感動で泣きそうになるのですが。
これがエレカシなんだよ?
この曲を聴くと、曲自体の甘い雰囲気と、歌詞の内容が、「悲しみの果て」をアップロードしたような感じ?ともいえそうです。
(ただ、「悲しみの果て」はオレオレ言ってたけど、「笑顔の未来へ」は相手のことをすごい見てる・・・!)
(で、たぶんこの時期くらいから?ふたたびテレビの出演も増えてたようです。EMI時代は意図的にテレビ出演を控えていました。)
それにしても、レコード会社を移籍し、関わる人や、環境が変わったとはいえ、これほどの変わりようです。
スウィートな印象と、移籍後の初作品ということで、「ココロに花を」のときのインパクトにちょっと近い気がします。うん。
音の感覚は「風」にいちばん近いかな、とも思います。
EMI時代は「七色の虹の橋」?
またもっと後、2012年になったら「MASTERPIECE」ってアルバムが出ます。
その中に「七色の虹の橋」って曲が入ってるんだけど、
自分はEMI期の「good morning」から「町を見下ろす丘」までの七枚のアルバムが?
ポニーキャニオン期から、ふたたびメジャーに返り咲いたユニバーサル期をつないだ、まさに「橋」だと感じるんです。
あの7枚があったからこそ?この「STARTING OVER」が作れたんだし、これ以降のアルバムも作れたんだと。
(ところでかのEPICk期も7枚出してるんだけど、エレファントカシマシは成功するのに
いったん7枚は出さないといけないでしょうか。)
・・・。
ユーミンの「翳りゆく部屋」のようなカバー曲が入っていることも?この時期のエレカシの、変化を受け入れるというスタンスが見えます。
(ちなみにこのカバーは絶品です。宮本さんはこの曲がお気に入りで、ライプで披露したこともあります。)
「リッスントゥザミュージック」のような直に恋愛の曲も本当に珍しい・・・。
まとめ
かりにエレファントカシマシのサウンドが完成した!
というとき、それはこの「STARTING OVER」においてだと思います。
エレファントカシマシのずっと今まで持ってきたものと、新たに得たものとが融合し、音楽的にすごい幅広い枠組みができました。
EMI時代があったからこそ、この枠組みを受け入れられたのでしょう。
一言でいうと・・・もう無敵です。
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