京極夏彦の「巷説百物語」シリーズを読んでいきまーす。
これもシリーズなんだな。なんとなく存在は知っておった。
第一弾はそのまんま「巷説百物語」であります。1997年に雑誌で連載が始まっておりました。
楽しみである。じっくり付き合えるシリーズならいいなこれ。
舞台は越後、「小豆洗い」。
はい読みました。第一作の最初の話、「小豆洗い」。
これも妖怪の名前よの。百鬼夜行シリーズのときみたいに冒頭に妖怪のイラストが載っておる。
百鬼夜行シリーズもこれもどちらも妖怪のしわざになぞらえてるようで、その解きほぐし方が違う感じかな。
ふむ。
百鬼夜行シリーズが大戦後の昭和初期(中期?)あたりが舞台だけど、こちらは江戸時代が舞台になっておる。
この舞台設定なんだよなぁ。
この「小豆洗い」という作品、あいかわらずこの作者の舞台設定のうまさが際立っておる。
自分は京極夏彦の作品というのは百鬼夜行シリーズから入ったが、あれも雑司ヶ谷とか相模湖、逗子、あと箱根とかもだけど。
ネットとかでそこらの写真見てみるとイメージ通りなんだよなぁ。
読んだ印象とまったく喧嘩しておらず、ああ、ここであの事件が起こったんかなと思えてしまうほどである。
今作「小豆洗い」は越後、すなわち今の新潟あたりに舞台を設定しているが、めちゃくちゃしっくりくる。
物語の構成要素である、寒さとか、山深い感じ、江戸との距離感とか。
もっと東北とかだと雪のイメージになっちゃいそうだけどこの新潟くらいだと、凍えそうだけど雪じゃない、ギリギリ雨っていう感じ。
まあ季節にもよるけども。
「しょき」の話。
「しょき」の話だな。
あまり他では目にしない、耳にしない擬音である。
大雨が降りしきる山道を往く円海という僧。
実はこの第一節(というのかな)、冒頭が興味深いのである。
実は超自然で幻想的な要素が密かにはいっておる。
しょきしょきという音はこの時点でなっているんだよなこれ。
オチまで読んであらためてこの冒頭、円海一人のところを読み返したら気づきが多い。
鬼の洗濯板の一枚岩のところで滑って転んだりとか。
伏線というより、引力をもった象徴といった感じだな。
はじめはこの円海の一人称で、この人が主人公なのかなと思ったりもしたのだが。
読み始めたときそんな気がしたぞ。
山小屋に入ったあたりから登場人物が増えて、ガラリと雰囲気が変わる。
会話が多くなっていく。
がんばって覚えよう、メインキャラ。
wikiでも調べたんだが、すでにこれ重要人物がいく人も出てきておった。
シリーズものだから当然であった。
けっこう人物同士の呼び名、通り名のようなものが何通りかあって、ややこしく感じるときがある。
御行の又市。
「おんぎょうのまたいち」と呼ぶ。この人は自分のことを奴(やつがれ)と呼ぶ。
あと山猫の話をしたおぎん。セクシーな感じの女性。自身も「山猫廻しのおぎん」。
山猫廻しというのがよくわからんなぁ。猿廻しの山猫バージョンなのだろうかこれ。
あと治平という初老の親爺。
うむ。あと百介(ももすけ)という、物語を収集してる人。この人は戯作者になりたがっていて、「考物(かんがえもの)の百介」などと呼ばれておる。
ややこしい。
まあこの辺がメインキャラだからなんとか把握しないとなぁ。
真相が明かされる結末はなかなかあたたかな感情がある。人情味これ。
京極夏彦のもたらす読後感だなこれ。良いぞ。
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